身を捨てて雨を降らせた真清田の竜
どんな伝承か
一宮市の真清田神社の竜神の伝説。ある年の夏、長く雨が降らず、弘法大師が導師となって雨乞いをしたが効き目がない。大師が茅で竜の形を作って祈ると竜が動き出し、天下の竜はみな竜王に封じられ、逆らって雨を降らせれば命はないと語った。大師は犠牲になってくれれば必ず神に祀ろうと頼み、竜は真清田の社に祀る約束と水の種を求めた。大師が水を大地に注ぐと黒雲が空を覆って激しい雨となり、雲の中から竜の体が切れ切れに落ちてきたという。大師は約束どおり竜を竜神として祀った。また神社の竜神石は人手に渡るたび持ち主に不幸が続き、昭和五年一月に名古屋の覚王山に移された。雨乞いの効き目が失せたのは石を手放したためという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))
『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。