鉦を鳴らして入定した五右エ門地蔵
どんな伝承か
知多郡山田町の奥組にある五右エ門地蔵は、さわると麻疹にかかると恐れられている。昔、五右エ門と呼ぶ六部がこの村に住みつき、朝酒夜酒と酒浸りの暮らしを続けていたが、根が好人物だったので近隣からも可愛がられていた。ある時、村人と酒を飲んでいた五右エ門は大きく溜息をつき、酒がまずくなったと言うなり庭先へ降り、たちまち大きな穴を掘り上げた。世話になった、今から定に入る、鉦の音がやんだら死んだと思ってくれと言い残し、一升徳利を提げ鉦を鳴らしながら穴へ入って村人に埋めさせた。やがて地の底の鉦の音は鳴りやんだ。村人はその心根を憐れみ、穴の上にこの地蔵を建てたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))
『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。