観音寺で果てた五人の姫と五色の蛇
どんな伝承か
中島郡大和村苅安賀の城主浅井田宮丸には五人の娘がいて、揃って美しく尾張の五人小町姫と呼ばれ国中に知られていた。ところが父の田宮丸が伊勢の長島で戦死すると一族は散り散りになり、姫たちも城を逃れて近くの観音寺に身を隠した。しかし豊臣方の詮議は厳しくなる一方で、追手が寺に迫るかもしれぬと恐れた五人は、ある夜ついに自ら命を絶った。それからしばらくして観音寺のあたりで、色の違う五匹の蛇が連れ立って歩くのを見た者があり、姫たちが豊臣方を呪って蛇になったのだと言われた。一尺ほどの美しい蛇が五匹揃って歩くこの話は、今も村の古老に語り継がれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))
『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。