三つ瀬の門松と殺された大男の祟り
どんな伝承か
昔の正月二日、東郷町の三つ瀬では村人が庄屋の家で年酒を酌み交わしていた。そこへ怪しい者が屋敷の辻下をうろついていると知らせが入り、酔った一同は棒や松飾りの杭を手に追いかけ、オロン沢で全身毛だらけの大男に追いつく。若者が殴りかかり、男はたちまち血の海の中で息絶えた。一同は死体をその場に埋めて散ったが、それから木こりの大怪我、原因不明の病、不作、門松を立てると聞こえる泣き声と不吉が続いた。男の祟りだと悟った人々はオロン沢に墓を建てて詫び、供養を続けた。三つ瀬の四十二戸はいまも門松を立てず、香の葉を差してしるしとする。墓は後に杵の音が聞こえる平栗へ移されたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))
『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。