谷底の金塊と股の沢千軒
どんな伝承か
新編武蔵風土記稿は、御林山の中に三つの金山があり、その一つが栃本から七里の股ノ沢、もう一つが小荒川だと記し、いずれも信玄が掘った跡と伝わる。股の沢にはこんな話がある。ある日、信玄の手勢がゴンザ沢の辺りを通りかかると、谷川の底に金色に光る物が見え、確かめると金塊だった。信玄はこの谷で採掘を始め、股の沢千軒と呼ばれるほどの鉱山町ができたという。今は石垣らしい積み石が残るばかりだが、江戸時代までは直径二尺ほどの石臼の破片が散らばっていたといい、金山権現の石祠もあったとされ、寺の跡は普門寺岩の名で伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父の伝説と方言
『秩父の伝説と方言』は、秩父市教育長鶴沢福松の序を付し、編集委員が執筆整理にあたって編んだ秩父地方の伝説と方言の集成である。秩父市と秩父郡に伝わる伝説を集め、武甲山麓のジジイ・ババア石、橋立鍾乳洞の悪龍、畠山重忠や坂上田村麻呂にまつわる話、伐ると祟る天狗松などを語り口調で記す。伝説は石・水・塚・屋敷跡・山と人物・地名・社寺および城跡・木に関する八つの部に分け、話によっては他地方の類話を注記する。