鼠の大群が将門を破った井椋さま
どんな伝承か
日本武尊の東征にちなみ猿田彦命を祀る椋神社に、藤原秀郷は将門討伐の成就を願って、日ごろ篤く信じていた奈良の春日の四柱の神を勧請し、これを井椋五郎明神とも呼んだという。するとある夜、城峰山にあった将門の館へおびただしい数の鼠が押し寄せ、驚き騒ぐ兵たちの武具を残らずかじり破り、兵の体にまで噛みついた。これで将門方はすっかり戦う力を失い、ほどなく秀郷に滅ぼされたとされる。これが井椋さまの縁起として伝わる話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父の伝説と方言
『秩父の伝説と方言』は、秩父市教育長鶴沢福松の序を付し、編集委員が執筆整理にあたって編んだ秩父地方の伝説と方言の集成である。秩父市と秩父郡に伝わる伝説を集め、武甲山麓のジジイ・ババア石、橋立鍾乳洞の悪龍、畠山重忠や坂上田村麻呂にまつわる話、伐ると祟る天狗松などを語り口調で記す。伝説は石・水・塚・屋敷跡・山と人物・地名・社寺および城跡・木に関する八つの部に分け、話によっては他地方の類話を注記する。