突き立てた杖から育った樫の巨木
どんな伝承か
旧荒川村の反という所に、杖が育って大木になったと伝わる樫の巨木がある。いつの頃のことかはっきりしないが、ある男が薪をどっさり背負って山道を下る途中、草鞋がすり減っていたのか何度も足を滑らせて転んだ。そこで道端に生えていた樫の枝を切って杖にし、どうにか家にたどり着いた。男はその杖を雨上がりの柔らかな土に突き立てて家に上がり、邪魔にもならないのでそのままにされた。一年ほどすると杖から芽が出て、家の者は面白がって水をやるようになり、やがて枝を伸ばして今の巨木に育ったという。原典は、杖が根づく伝説の一種で二本木峠の伝説に似ているとする。
原典より
秩父郡荒川村の反という所に「杖が成長して大きな木になった」と伝えられる樫の巨木があります。—— 秩父の伝説と方言 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父の伝説と方言
『秩父の伝説と方言』は、秩父市教育長鶴沢福松の序を付し、編集委員が執筆整理にあたって編んだ秩父地方の伝説と方言の集成である。秩父市と秩父郡に伝わる伝説を集め、武甲山麓のジジイ・ババア石、橋立鍾乳洞の悪龍、畠山重忠や坂上田村麻呂にまつわる話、伐ると祟る天狗松などを語り口調で記す。伝説は石・水・塚・屋敷跡・山と人物・地名・社寺および城跡・木に関する八つの部に分け、話によっては他地方の類話を注記する。