五百番目の川で湯を得た萩姫
どんな伝承か
昔、京の都の円山に萩姫という美しい姫がいた。ある秋の夜、父の重忠と庭で萩を眺めて語らっていると、京洛の不穏を告げる武士が来て、重忠は宮中へ参内した。まもなく萩姫は病に倒れ、どんな名医に診せても回復しなかった。姫の身のまわりを世話する下女の雪枝は、自分の身を捨てても姫を治したいと神に祈り、二十一日の断食をした。満願の日、白衣の化身が現れ、都を去って東北へ行き五百の川を渡れば暖かい湯が出る所があると告げた。二人は都を発ち、五百番目の川で湯気の立つ霊泉を見つけた。萩姫は湯治で全快して北畠顕家に従い吉野へ上り、雪枝はこの地に残って不動尊を護って暮らしたと伝わる。
原典より
昔、京の都の円山に、萩姫という美しい姫がいた。—— 郡山の伝説(郡山市教育委員会(編)・大島建彦(監修)・ふるさとの文化財調査事業・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
郡山の伝説(郡山市教育委員会(編)・大島建彦(監修)・ふるさとの文化財調査事業・1986年(昭和61年))
『郡山の伝説』は、郡山市教育委員会が大島建彦の監修を受けて昭和六十一年に編んだ伝説集である。昭和五十九年度の「ふるさとの文化財調査事業」で調査員が市内全域から採集した伝説を中心に、郷土誌などで補った話を収め、采女伝説や坂上田村麻呂・源義家・弘法大師にまつわる話が多い。『日本伝説名彙』にならって木・石岩・水・塚・坂峠山・祠堂・家村・祭礼行事の部に分け、各話に伝承地と報告者名を添え、巻頭に監修者の解説を置く。