胡瓜を忌む天王様の祟り
どんな伝承か
昭和三十年以前、樹齢四百年といわれた欅の巨木の根本に氏神様が祀られていた。その神は天王様で、いつ祀られたかは分からない。今の石の宮には明治十五年九月十五日と刻まれているが、もっと昔からあったという。天王様は悪病災難を逃れさせてくれるといい、正月には〆縄を飾り、九月十五日には供物を供えて家内揃って参った。ただ不思議なことに、胡瓜を作ってはいけない、特に主人は一生胡瓜を食ってはいけないといわれてきた。天王様が胡瓜を惜しむからだという。先々代の祖父が、子どもの遊びの中にあった御神体を宮に納めたところ、間もなく不幸が起きた。巫子は、子どもと遊びたかった神の祟りだと告げ、深く謝って赦してもらったという。
原典より
昭和三十年以前、樹齢四百年といわれた欅の巨木の根本に、氏神様が祠られていた。—— 郡山の伝説(ふるさとの文化財調査事業・昭和六十一年(1986)刊/監修 大島建彦) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
郡山の伝説(ふるさとの文化財調査事業・昭和六十一年(1986)刊/監修 大島建彦)
福島県郡山市(旧安積郡・田村郡域、湖南・熱海・三穂田・逢瀬・西田・中田ほか各町)に伝わる伝説を、木/石・岩/水/塚/坂・峠・山/祠堂/家・村/祭礼・行事の八部門に分類して集成する。坂上田村麻呂や阿古陀媛・采女伝説・萩姫、源義家ら前九年の役の人物伝承、淵や池の主・龍神・河童、弘法大師の清水、稲荷・観音・地蔵の霊験、長者伝説や埋蔵金、隠れキリシタンなど、郡山の地に根ざした怪異・霊験・由来譚を伝承地つきで網羅する。