人身御供と片葉の葦の蛇骨地蔵
どんな伝承か
安積・白河二郡の官領、浅香左衛門尉忠繁には菖蒲という美しい姫があった。長臣の浅香玄蕃時郷は姫を我がものにしようとして拒まれ、忠繁夫婦を刺殺したうえ、姫を浅香沼へ投げ込んだ。すると沼から百丈もある霊蛇が現れて玄蕃の一族を沼へ引き込み、以後、里は凶風と雷に見舞われ五穀も実らなくなった。霊蛇は毎年、嫁に行かぬ女を人身御供に供えよと告げ、贄の家の塚は三十二を数えた。三十三年目、片平村の権勘太夫が大和から佐世姫を身代わりに買って来る。姫は壇上で法華経を読み、大蛇は大石を枕に聞き入って息絶えた。神女となった蛇の骨で姫は地蔵を彫り、以来この沼に片葉の葦が茂ると伝わる。
原典より
昔、安積、白河の二郡の官領を、浅香左衛門尉忠繁といい、智勇をかねそなえ、仁、徳があり、政道に怠りない英傑と、人々から仰がれていた。—— 郡山の伝説(ふるさとの文化財調査事業・昭和六十一年(1986)刊/監修 大島建彦) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
郡山の伝説(ふるさとの文化財調査事業・昭和六十一年(1986)刊/監修 大島建彦)
福島県郡山市(旧安積郡・田村郡域、湖南・熱海・三穂田・逢瀬・西田・中田ほか各町)に伝わる伝説を、木/石・岩/水/塚/坂・峠・山/祠堂/家・村/祭礼・行事の八部門に分類して集成する。坂上田村麻呂や阿古陀媛・采女伝説・萩姫、源義家ら前九年の役の人物伝承、淵や池の主・龍神・河童、弘法大師の清水、稲荷・観音・地蔵の霊験、長者伝説や埋蔵金、隠れキリシタンなど、郡山の地に根ざした怪異・霊験・由来譚を伝承地つきで網羅する。