片目の魚が棲む深沼の古沼
どんな伝承か
深沼部落の地名の起こりと言われる、武田作右工門の古沼には三つの不思議が伝えられている。一つは、大旱魃や霖雨があっても水の増減が少しもなかったこと。一つは、沼の中で蛙が鳴けば必ず雨が降ったこと。一つは、沼の魚がことごとく左眼の盲目であったことである。また沼のほとりには昔から蛇が棲み、武田家に不祥な事が起ころうとすると必ずひそかに現れて警戒したため、この家には霊蛇の加護で大災も盗難もなかったという。元祿四年に検地した時、沼一ヶ所十六町歩余とあるのは、この沼のことだと伝えられている。
原典より
深沼部落の地名の起りと云われる武田作右工門さんの古沼に、次のような三の不思議な事が云い伝えられております。—— 高畠町伝説集(昭和三十二年(1957)刊/高島高校文芸班編) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高畠町伝説集(昭和三十二年(1957)刊/高島高校文芸班編)
山形県東置賜郡高畠町(屋代・亀岡・和田・二井宿・糠野目・高安・露藤ほか各地区。一部は隣接の米沢市・南陽市宮内・長井市)に伝わる伝説を、神仏/人物/怪異/動物/什物/地物/地名/地誌 の八篇に分類して集成する。屋代神社の鬼女縁起、犬の宮・猫の宮、安久津八幡、狐狸むじなの化かし、天狗・怪物・沼の怪、青葉の笛や応挙の幽霊画、伊達・上杉の城館跡や古戦場、地名由来など、高畠の地に根ざした怪異・霊験・由来譚を地区つきで網羅する。