薬王寺の幽霊井戸と馬頭の七不思議
どんな伝承か
和田の馬頭には、文化文政の頃からと伝わる七つの不思議がある。真言宗薬王寺の井戸からは、夜が更けると若い女の悲しげな声や子供の泣き声が聞こえ、幽霊井戸と呼ばれた。恋を遂げられぬ若い僧が身を投げたとも、子供が誤って落ちたともいう。裏山の頂の岩のくぼみに湧く井戸は日照りでも乾かず、大旱魃の時に馬頭の人々が雨乞いをすれば必ず雨が降った。空海の筆という火焔不動の軸物は、質入れされた蔵で二度まで一面の火焔となり、驚いた質屋が返しに来た。ほかに仏柳の清水、熊野権現のかがり火、遠藤家の持仏堂、日照りにも乾かない弁天の池水が数えられている。
原典より
和田の馬頭に七不思議がありますが、昔から伝えられています。—— 高畠町伝説集(昭和三十二年(1957)刊/高島高校文芸班編) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高畠町伝説集(昭和三十二年(1957)刊/高島高校文芸班編)
山形県東置賜郡高畠町(屋代・亀岡・和田・二井宿・糠野目・高安・露藤ほか各地区。一部は隣接の米沢市・南陽市宮内・長井市)に伝わる伝説を、神仏/人物/怪異/動物/什物/地物/地名/地誌 の八篇に分類して集成する。屋代神社の鬼女縁起、犬の宮・猫の宮、安久津八幡、狐狸むじなの化かし、天狗・怪物・沼の怪、青葉の笛や応挙の幽霊画、伊達・上杉の城館跡や古戦場、地名由来など、高畠の地に根ざした怪異・霊験・由来譚を地区つきで網羅する。