嫁入りの持参となった鈴沼
どんな伝承か
高畠町の南部に十町余歩の鈴沼という大きな沼がある。今日は養鯉沼として米沢鯉の生産地となり、米沢だけでなく上山・山形、遠く飯坂あたりまで売られて頗る美味と賞讃されている。この沼には言い伝えが残る。昔、塩森に塩森兵庫という伊達家の一族の者が館を構え、一人の娘があった。その頃、隣村の高安の豪族の一人息子が娘を所望し、吉日を選んで嫁いでいった。兵庫は持参として九町八反歩と言われた鈴沼と松山幾十町を添えてやった。だが幾年かの後に折り合わず離縁となり、娘は帰ってきた。その時、高安では沼だけを返さなかった。それ以来、塩森と高安の村人の仲は悪く、縁談はまとまらないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高畠町伝説集(昭和三十二年(1957)刊/高島高校文芸班編)
山形県東置賜郡高畠町(屋代・亀岡・和田・二井宿・糠野目・高安・露藤ほか各地区。一部は隣接の米沢市・南陽市宮内・長井市)に伝わる伝説を、神仏/人物/怪異/動物/什物/地物/地名/地誌 の八篇に分類して集成する。屋代神社の鬼女縁起、犬の宮・猫の宮、安久津八幡、狐狸むじなの化かし、天狗・怪物・沼の怪、青葉の笛や応挙の幽霊画、伊達・上杉の城館跡や古戦場、地名由来など、高畠の地に根ざした怪異・霊験・由来譚を地区つきで網羅する。