将門の木像を神体とする国王神社
どんな伝承か
岩井町は将門の反乱の本拠と伝えられる。町の北はずれにある国王神社は将門の霊を祀り、その木像を神体とする。ここから東の一言神社にかけての一帯が営所の跡とされ、土地では椿の廟と呼ぶ。著者らが夏の午後に訪ねると、森に包まれた社は四辻の角にあり、鳥居の脇には明治の雪冤運動の中心人物織田完之の碑文が立つ。翁によれば社殿の背面には放れ馬の彫り物があるはずだったが現在はなく、祭りも祭日を定めて行うことはなくなって久しい。十年ほど前の平将門一千年祭の記念に作られた故蹟写真には本社秘蔵の衣冠束帯の将門坐像が収められ、この神像は将門の娘が尼となって刻んだものとも伝えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
将門伝説——民衆の心に生きる英雄(梶原正昭・矢代和夫・1966年(昭和41年))
『将門伝説——民衆の心に生きる英雄』は、梶原正昭と矢代和夫が一九六六年に著した平将門の伝説の研究書である。茨城県岩井町をはじめ各地の伝説地の踏査と、縁起・古記録・地誌をもとに、将門の怨霊と調伏、七人の影武者、子の良門や娘の如蔵尼、寵妃桔梗ら落人の行方、後裔を名告る家々、伝説の伝播と文芸化をたどる。序章と三篇からなり、巻末に青森県から鳥取県までの伝説分布と、寺社縁起など関係文献の抄録を附録として付す。