デイラボッチとじんだら沼
どんな伝承か
昔、雲に届くほどの大男デイラボッチが富士山を背負い、西から東へ旅をしていた。相模国まで来て疲れ果て、手頃な大山に腰を下ろして富士山を降ろし、相模川の水をすくって何杯も飲んだ。元気を取り戻して担ごうとしたが、富士山は根が生えたように動かない。縄で縛って力いっぱい引くと縄が切れ、踏ん張った両足は大地に深くめり込んだ。代わりの藤づるを相模野じゅう探しても見つからず、怒った大男はこの原に二度と藤が生えぬようにしてやると言い捨てて去った。めり込んだ足跡に水がたまったのが淵野辺駅の西の鹿沼と、反対側の菖蒲沼で、地団駄を踏んだ跡だから鹿沼をじんだら沼とも呼んだという。
原典より
弘法大師と水無川(秦野市・中郡西秦野町) 八八—— 神奈川の伝説(谷川平夫(文)/読売新聞社横浜支局 編・1967年(昭和42年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川の伝説(谷川平夫(文)/読売新聞社横浜支局 編・1967年(昭和42年))
『神奈川の伝説』は、読売新聞社横浜支局が一九六七年に編んだ神奈川県内の伝説集である。読売新聞神奈川県民版に昭和四十年九月から四十二年八月まで八十回連載された「神奈川の伝説」のうち六十五回分を収め、文は谷川平夫記者が書き、伝説の地を訪ねて住職や古老に聞いた話と現在の様子を添える。樹木・石・塚・水・坂や島・屋敷址・社寺・禁忌・地名の部に話を分け、大藤時彦の序文と巻末の解説・索引を付ける。