三百年燃えた河童松の薪
どんな伝承か
逗子の山野根と池子の境にある急な丘には、松の木が崖から身を乗り出すように茂り、なかでも河童松と呼ばれる枝ぶりの見事な一本がひときわ高くそびえていた。樹齢は数百年に及び、ある人がこの松を切り倒して薪にしたところ、その家の竈は朝も夜も絶えることなく三百年にわたって燃え続けたという。また小枝を一本切り落としただけでも、その枝が崖を転がり落ちて下の土蔵をぺしゃんこに押しつぶしたといい、よほどの巨木だったことがうかがえる。この松には、川で悪さをした河童が捕らえられて枝に吊るされたという由来がある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川の伝説(谷川平夫(文)/読売新聞社横浜支局 編・1967年(昭和42年))
『神奈川の伝説』は、読売新聞社横浜支局が一九六七年に編んだ神奈川県内の伝説集である。読売新聞神奈川県民版に昭和四十年九月から四十二年八月まで八十回連載された「神奈川の伝説」のうち六十五回分を収め、文は谷川平夫記者が書き、伝説の地を訪ねて住職や古老に聞いた話と現在の様子を添える。樹木・石・塚・水・坂や島・屋敷址・社寺・禁忌・地名の部に話を分け、大藤時彦の序文と巻末の解説・索引を付ける。