虎御石の色好みと質屋の祟り
どんな伝承か
延台寺の虎御石には後日談がある。子のない女は去れと言われた時代、この石は子宝を授ける石として女性たちの人気を集め、東海道を行き来する大名行列の奥女中までがひそかに撫でていったらしい。また善い男が持ち上げれば上がり、悪い男では上がらない色好みの石と評判が立ち、力自慢の男たちが挑んだが、百二十キロの重さでなかなか持ち上がらず、かえって虎女の貞節の評判を高めた。江戸時代、評判の石を江戸へ運んで見世物にした者がいたが客はさっぱり入らず、とうとう質屋に入れてしまった。ところが預かった質屋の主人が毎晩うなされ、たまらず延台寺へ寄進したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川の伝説(谷川平夫(文)/読売新聞社横浜支局 編・1967年(昭和42年))
『神奈川の伝説』は、読売新聞社横浜支局が一九六七年に編んだ神奈川県内の伝説集である。読売新聞神奈川県民版に昭和四十年九月から四十二年八月まで八十回連載された「神奈川の伝説」のうち六十五回分を収め、文は谷川平夫記者が書き、伝説の地を訪ねて住職や古老に聞いた話と現在の様子を添える。樹木・石・塚・水・坂や島・屋敷址・社寺・禁忌・地名の部に話を分け、大藤時彦の序文と巻末の解説・索引を付ける。