魔の池決壊の大惨事
どんな伝承か
横浜市西区西戸部町の高台と低地の境には、大正の終わりまで直径百メートルほどの用水池があり、「魔の池」と呼ばれていた。土地には、村小町と呼ばれた美しい女が夫を絞め殺して池に沈め、のちに情夫が女を刺して抱いたまま入水し、もう一人の男も飛び込んで、四人の死体が一度に浮かんだという話が伝わる。以来この池の土手を歩く男が引きずり込まれ、落ちれば助からなかったという。大正九年九月三十日午後七時五十分ごろ、豪雨で西戸部町字池の坂の用水池東側の崖が崩れ、土砂が池に落ちた水圧で堤防が決壊した。民家二十戸が全壊、二十戸が半壊し、死者十九人、行方不明三人を出した。池はのちに埋め立てられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川の伝説(谷川平夫(文)/読売新聞社横浜支局 編・1967年(昭和42年))
『神奈川の伝説』は、読売新聞社横浜支局が一九六七年に編んだ神奈川県内の伝説集である。読売新聞神奈川県民版に昭和四十年九月から四十二年八月まで八十回連載された「神奈川の伝説」のうち六十五回分を収め、文は谷川平夫記者が書き、伝説の地を訪ねて住職や古老に聞いた話と現在の様子を添える。樹木・石・塚・水・坂や島・屋敷址・社寺・禁忌・地名の部に話を分け、大藤時彦の序文と巻末の解説・索引を付ける。