犬嫌いの和尚と丹波のお作丈
どんな伝承か
鎌倉の建長寺に伝わる、もう一つの狸の話である。昔、建長寺の和尚がふとしたことから犬嫌いになった。出先に犬がいれば必ずつながせ、食事のときは屏風で四方を囲み、給仕の女も寄せつけない。怪しんだ村の狩人が、近所の葬式に和尚が来た折に天井裏の節穴からのぞくと、和尚は屏風の中で四つん這いになり、膳の飯と汁と菜をまぜて舐めていた。その後、狩人は山で、狸たちが丹波のお作丈に知られたら命が危ないと歌い踊るのを聞く。丹波を訪ね歩いてお作丈が狸取りの名犬だとつきとめ、連れ帰って和尚の駕籠にけしかけると、衣は木の葉の寄せ集めで、狸が本物の和尚を食い殺して化けていたとわかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川の伝説(谷川平夫(文)/読売新聞社横浜支局 編・1967年(昭和42年))
『神奈川の伝説』は、読売新聞社横浜支局が一九六七年に編んだ神奈川県内の伝説集である。読売新聞神奈川県民版に昭和四十年九月から四十二年八月まで八十回連載された「神奈川の伝説」のうち六十五回分を収め、文は谷川平夫記者が書き、伝説の地を訪ねて住職や古老に聞いた話と現在の様子を添える。樹木・石・塚・水・坂や島・屋敷址・社寺・禁忌・地名の部に話を分け、大藤時彦の序文と巻末の解説・索引を付ける。