天海の跡を追った三匹の狐の三位稲荷
どんな伝承か
川越市小仙波町の喜多院には三位稲荷が祀られている。一説では、天海僧正に仕えた三人の童子が、ある日天から呼ばれた僧正のあとを、箒・すり鉢・すりこぎを手にしたまま追いかけ、行方を見失った。やがて三人は三匹の狐となり、それぞれの道具を持ったまま池の中で死んでいたといい、稲荷はこの狐を祀ったものとされる。別の説では、十四世の実海僧正に三位という小僧が仕えており、僧正が天に昇ったと聞くや箒をかついで飛び上がったが庭先に落ちてしまい、この小僧を祀ったのが三位稲荷だとも伝えられる。
原典より
川越市小仙波町の喜多院に、三位稲荷というものが祀られている。—— 武蔵の伝説(大島建彦/渡辺千佳子・日本の伝説・1976年(昭和51年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
武蔵の伝説(大島建彦/渡辺千佳子・日本の伝説・1976年(昭和51年))
『武蔵の伝説』は、大島建彦と渡辺千佳子が昭和五十一年に著した伝説集である。埼玉県・東京都と神奈川県の一部にあたる旧武蔵国の伝説を、地誌・紀行・社寺縁起・区市史や『埼玉県伝説集成』などの文献と土地の口碑から集め、項目ごとに出典を添える。『日本伝説名彙』の六部門に家・村と祭礼・行事を加えた八部に分け、巻頭の「はじめに」で伝説の分類の方法を論じている。