芋畑で斬られた妾と血の井戸
どんな伝承か
元禄のころ、文京区小石川の牛天神下に細田という家があった。その家の主が妾の心を疑い、芋を植えた畑で斬りつけたところ、女はみずから屋敷の井戸に身を投げたという。それからのち、この屋敷の菜園では、丸い実のなるものを植えてもまともに育たなくなった。井戸の水も血のように見えたと『遊歴雑記』は記す。先祖の所行が子孫に祟った例として語り伝えられてきた。
原典より
元禄年間(一六八八―一七〇四)に、文京区小石川の地で、牛天神下の細田家の某は、妾を疑って芋園でなぶり切りにしたので、妾はみずから井戸の中に飛び込んだ。—— 武蔵の伝説(大島建彦/渡辺千佳子・日本の伝説・1976年(昭和51年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
武蔵の伝説(大島建彦/渡辺千佳子・日本の伝説・1976年(昭和51年))
『武蔵の伝説』は、大島建彦と渡辺千佳子が昭和五十一年に著した伝説集である。埼玉県・東京都と神奈川県の一部にあたる旧武蔵国の伝説を、地誌・紀行・社寺縁起・区市史や『埼玉県伝説集成』などの文献と土地の口碑から集め、項目ごとに出典を添える。『日本伝説名彙』の六部門に家・村と祭礼・行事を加えた八部に分け、巻頭の「はじめに」で伝説の分類の方法を論じている。