見沼の龍神と万年寺の龍神燈
どんな伝承か
大宮市片柳の万年寺の境内には観音堂があり、かつては毎年八月十五日に龍神燈という行事が営まれていた。昔、弥惣兵衛という男が見沼の干拓のため万年寺に住まいを構えたところ、ある夜、見沼の主である龍神が夢に現れ、自分のために三町四方の沼を残してほしいと頼んだ。弥惣兵衛はその願いは聞けないと断り、代わりに境内に龍神燈を寄進して、八月十五日には必ず龍神の霊を慰めると約束した。すると龍神は女の姿になって毎夜のように燈をともしたが、寺の僧に見つかると姿を消してしまった。哀れに思った弥惣兵衛が永代の燈明料と供養料を納めたことから、この行事が始まったという。
原典より
大宮市片柳の万年寺境内に観音堂があり、かつて毎年八月十五日には、龍神燈と呼ばれる行事がおこなわれていた。—— 武蔵の伝説(大島建彦/渡辺千佳子・日本の伝説・1976年(昭和51年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
武蔵の伝説(大島建彦/渡辺千佳子・日本の伝説・1976年(昭和51年))
『武蔵の伝説』は、大島建彦と渡辺千佳子が昭和五十一年に著した伝説集である。埼玉県・東京都と神奈川県の一部にあたる旧武蔵国の伝説を、地誌・紀行・社寺縁起・区市史や『埼玉県伝説集成』などの文献と土地の口碑から集め、項目ごとに出典を添える。『日本伝説名彙』の六部門に家・村と祭礼・行事を加えた八部に分け、巻頭の「はじめに」で伝説の分類の方法を論じている。