見沼の龍神が掲げる万年寺の龍燈松
どんな伝承か
井沢弥惣兵衛為永が見沼の干拓を進めていたころ、天沼の大日堂に泊まっていると、ある夜、見沼の龍神が美女の姿で現れ、長く棲んできた沼を干されては住む所がないと泣いて中止を訴えた。為永は幕命ゆえ取り合わず工事を進めたが、思わぬ病や時ならぬ風雨に見舞われ、龍神の祟りと考えて龍神の住処に十五間四方の未開地を残した。すると病も治り、万年寺に移った為永は龍神と観音に燈明料を供えた。以来、誰も点けないのに毎晩境内の松の頂に燈が高く掲げられ、人々は龍神が掲げるのだと言い伝えた。
原典より
井沢弥惣兵為永が天沼の大日堂に宿って、見沼干拓の事業を進めているときだった。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成――分類と解説 上』は、韮塚一三郎が埼玉県内の伝説を類型ごとに集めて編んだ伝説集の上巻である。片目の魚、化かす狐や狸、松・杉などの樹木、石や岩、ダイダラ坊と山、清水・渕・池・井戸にまつわる県内各地の伝説を、郷土誌や地誌、『埼玉史談』などの文献と、地元の資料提供者や話者の報告から採って収める。各話に所在地と出典を添え、話型ごとに〈解説〉を置いて全国の類例と信仰の背景を論じ、[参考]文献を挙げる。