猟師が撃ち落とした大日如来の狐
どんな伝承か
天保十一年、皆谷に住む八重蔵の猟師が夜の猟に出ると、川を隔てた向かいの山際に、天を突くほど大きな大日如来の姿が現れた。この辺りに大日如来があるはずはない、狐か狸のいたずらに違いないと見抜いた猟師は、その蓮華座めがけて鉄砲を放った。すると像はたちまち消え失せ、川を渡って調べてみると大きな狐が倒れていたという。ともあれ大日如来が現れた場所だからと、人々は大日尊の法碑を建て、その碑は今も残っている。
原典より
天保十一年(一八四○) 皆谷の八重蔵の猟師がある夜猟に出かけた。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成――分類と解説 上』は、韮塚一三郎が埼玉県内の伝説を類型ごとに集めて編んだ伝説集の上巻である。片目の魚、化かす狐や狸、松・杉などの樹木、石や岩、ダイダラ坊と山、清水・渕・池・井戸にまつわる県内各地の伝説を、郷土誌や地誌、『埼玉史談』などの文献と、地元の資料提供者や話者の報告から採って収める。各話に所在地と出典を添え、話型ごとに〈解説〉を置いて全国の類例と信仰の背景を論じ、[参考]文献を挙げる。