藤原利仁の墓の夜泣松
どんな伝承か
東松山市下唐子には、天慶のころ平将門に討たれたという藤原利仁の墓があり、そこに立つ松を夜泣松と呼んだ。墓の松は毎夜、将門を呪って泣いたと伝えられる。この松には子どもの夜泣きを治す信仰もあった。赤ん坊が幾晩も夜泣きして困ると、竹を一節切って手桶の形にし、酒を入れて赤い紐をつけ、松の根元に供えると不思議に夜泣きが止むと信じられていた。松は五十年ほど前まであったというが、今は残っていない。
原典より
昔、青鳥城の姫君が僧と恋におち、手討ちにされ、僧も自害した。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成――分類と解説 上』は、韮塚一三郎が埼玉県内の伝説を類型ごとに集めて編んだ伝説集の上巻である。片目の魚、化かす狐や狸、松・杉などの樹木、石や岩、ダイダラ坊と山、清水・渕・池・井戸にまつわる県内各地の伝説を、郷土誌や地誌、『埼玉史談』などの文献と、地元の資料提供者や話者の報告から採って収める。各話に所在地と出典を添え、話型ごとに〈解説〉を置いて全国の類例と信仰の背景を論じ、[参考]文献を挙げる。