安産に効くと伝わる三本の松
どんな伝承か
川越市久下戸の富士塚と呼ばれる場所に、松が三本立っている。この松に向かって安産を願えば効き目があるといわれ、子安木と呼ばれてきた。『新記』巻一六七に見える。同書は、子を授け安産を守る木への信仰を、その木に生まれてくる子の霊が宿るという古い考えに基づくものと説き、二股や三股に分かれた木ほど分身の霊が集まると信じられたと述べている。
原典より
この松の木に安産を祈れば効験があるといわれる。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成――分類と解説 上』は、韮塚一三郎が埼玉県内の伝説を類型ごとに集めて編んだ伝説集の上巻である。片目の魚、化かす狐や狸、松・杉などの樹木、石や岩、ダイダラ坊と山、清水・渕・池・井戸にまつわる県内各地の伝説を、郷土誌や地誌、『埼玉史談』などの文献と、地元の資料提供者や話者の報告から採って収める。各話に所在地と出典を添え、話型ごとに〈解説〉を置いて全国の類例と信仰の背景を論じ、[参考]文献を挙げる。