大坂落城を手伝った札所三十二番の天狗
どんな伝承か
小鹿野の般若にある秩父札所三十二番の観音堂には、天狗岩と呼ばれる岩がある。『新編武蔵風土記稿』によれば、羅漢岩に続いて同じような高い岩が向かい合い、松が茂ってひっそりとした絶景の地である。寺の僧の話では、この山に住む天狗は大坂落城の頃に手伝いをした年老いた者で、時々いたずらをするので、船丸天狗坊大権現として祀ったところ、境内が安穏になったという。
原典より
『秩父志』によると、ここに天狗岩という名の岩がある。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成――分類と解説 上』は、韮塚一三郎が埼玉県内の伝説を類型ごとに集めて編んだ伝説集の上巻である。片目の魚、化かす狐や狸、松・杉などの樹木、石や岩、ダイダラ坊と山、清水・渕・池・井戸にまつわる県内各地の伝説を、郷土誌や地誌、『埼玉史談』などの文献と、地元の資料提供者や話者の報告から採って収める。各話に所在地と出典を添え、話型ごとに〈解説〉を置いて全国の類例と信仰の背景を論じ、[参考]文献を挙げる。