武甲山の中腹にある冑岩
どんな伝承か
埼玉県秩父郡横瀬村、いまの横瀬町の武甲山の中腹に、冑岩と呼ばれる岩がある。その由来ははっきりしないと『新編武蔵風土記稿』巻二五四は記すのみである。本書の解説によれば、冑岩とは兜に似た形の石について、その由来や因縁を語る伝説をいい、冑掛石と呼ぶ土地もある。たとえば長野県南佐久郡の勝間にある冑石は、武田信玄が冑を掛けた石だと伝えられている。冑を霊石に掛けるのは、神の加護を祈る行いだったのであろうという。
原典より
武甲山の中腹に冑岩という名の岩がある。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成――分類と解説 上』は、韮塚一三郎が埼玉県内の伝説を類型ごとに集めて編んだ伝説集の上巻である。片目の魚、化かす狐や狸、松・杉などの樹木、石や岩、ダイダラ坊と山、清水・渕・池・井戸にまつわる県内各地の伝説を、郷土誌や地誌、『埼玉史談』などの文献と、地元の資料提供者や話者の報告から採って収める。各話に所在地と出典を添え、話型ごとに〈解説〉を置いて全国の類例と信仰の背景を論じ、[参考]文献を挙げる。