青鳥城址の板碑虎御石
どんな伝承か
東松山市石橋の青鳥城址、その一角にある小池のほとりに一基の板碑が建っており、これが虎御石と呼ばれている。『新編武蔵風土記稿』は、応安二年の銘がある古碑を土地の人がなぜか虎の御石と呼ぶと記す。碑は長らく二つに割れて池の踏み台にされていたが、のちに建て直された。種子は大日で、銘文は応安二年卯月八日、引上道善という人の七年忌に建てたと読める。このため貞治二年の苦林野の合戦で死んだ者の霊を弔ったものとする説もある。しかし土地の伝説はまったく別で、『比企年鑑』によれば、曾我十郎の冥福を祈って尼となり諸国を巡った虎御前が建てた供養塔だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成――分類と解説 上』は、韮塚一三郎が埼玉県内の伝説を類型ごとに集めて編んだ伝説集の上巻である。片目の魚、化かす狐や狸、松・杉などの樹木、石や岩、ダイダラ坊と山、清水・渕・池・井戸にまつわる県内各地の伝説を、郷土誌や地誌、『埼玉史談』などの文献と、地元の資料提供者や話者の報告から採って収める。各話に所在地と出典を添え、話型ごとに〈解説〉を置いて全国の類例と信仰の背景を論じ、[参考]文献を挙げる。