伏見のクグツ師が呼ばれても来ない
どんな伝承か
サンカという語の古い用例は、源俊頼の散木奇歌集にある。同書巻十の連歌の部に、伏見にクグツシのサムカが来ていたので、さき草に合わせて歌をうたわせようと呼びにやったところ、もと宿っていた家にはいないと言われて来なかった、そこで家刀自が「うからめはうかれて宿も定めぬか」と詠んだ、と見える。証は一つだけで誤字も計りがたいが、この詞書によれば当時は傀儡師をサムカとも称したと解しうる。舞を奏すべきクグツシだけが出て、それに合わせて歌う者が不在であった失望を紛らすために、このような連歌が行われたのであろうという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
「イタカ」及び「サンカ」(定本柳田國男集 第四巻より)(柳田國男・定本柳田國男集 第四巻・1963年(昭和38年))
『「イタカ」及び「サンカ」(定本柳田國男集 第四巻より)』は、物を乞い歩く半僧半俗のイタカや漂泊の民サンカを論じた柳田國男の論考を、昭和三十八年発行の『定本柳田國男集』第四巻から収めたものである。会津のイタカ町や奥州のイタコとオシラ神、サンカの集会と掟を、近世の地誌や古記録、各地からの聞き書きで説く。イタコの語源やイチコの分布、カムナギの階級、中世の遊女と傀儡の暮らしにも筆を及ぼしている。