瀬戸 サンカの棄て子少年
どんな伝承か
著者が聞いた十二三年前の話として、尾張の瀬戸町にあった感化院に、素性の知れない少年が二人いたという。そのうちの一人はサンカの仲間の子で、相州の足柄で親から棄てられ、甲州から木曾の山づたいに歩いて名古屋まで出てきたところを警察に保護され、この施設に送られた。著者は、黙って山へ入ったきり戻らなかった人間の数は決して少なくないと述べ、このように定まった家を持たず山野を移動して暮らす人々の存在の例として、この少年を挙げている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。