四月八日に来る鬼とミカイの籠
どんな伝承か
日高の女影では、遺跡ばかりでなく古いしきたりも次々に消えている。かつては毎年四月八日になると鬼がやって来るといわれ、その鬼を追い払うために、土地の言葉でミカイと呼ぶ籠を竹竿の先に掲げて、村じゅうを練り歩く祭りがあった。この祭りも今は行われず、わずかに一部の集落に念仏講の行事が残るばかりだという。
原典より
毎年四月八日は鬼がくるというので、その退参を求めて、ミカイと方言で呼ぶ籠を竹竿の上にのせ、村中練り歩く祭りもいまはなく、わずか一部の集落に、次に書く念仏講の行事が残っているくらいである。—— 秩父・奥武蔵伝説たわむれ紀行(神山弘・1984年(昭和59年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父・奥武蔵伝説たわむれ紀行(神山弘・1984年(昭和59年))
『秩父・奥武蔵伝説たわむれ紀行』は、神山弘が一九八四年に著した伝説探訪の紀行である。越辺川の流域や高麗郷、富士山のある村々、竹寺、武甲山と三峰山、宝登山、釜伏峠と粥新田峠など埼玉県西部の山村を歩き、土地の古老からの聞き書きと『新編武蔵風土記稿』などの記録を交えて、竜や大蛇、天狗、幽霊、将門などの伝説を語る。土地ごとの章に小見出しを立てた随筆体で、著者の前著『ものがたり奥武蔵』で扱わなかった土地を主にとりあげる。