安産を守る三沢の二十三夜寺
どんな伝承か
三沢村にある二十三夜寺は、土地の人が三夜様と親しんで呼ぶ寺で、昔から近在に名の通った流行り仏である。正式には師慶山医王寺といい、勢至菩薩を本尊とする。この菩薩は仏のなかで二十三番目に人を救う順番に当たるので二十三夜寺と呼ばれ、あらゆる病の平癒や養蚕の守り仏とされる。縁日は毎月二十三日で、旧正月の元旦の大祭は大勢の参拝客でにぎわう。とりわけこのあたりの女性たちは、二十三日に宵待ちの集いである三夜講を開き、これに加わると安産が約束されると言われている。
原典より
この菩薩は仏のなかで二十三番目に人々を救う順番になっているので、ここを二十三夜寺と呼び、あらゆる病気の全快祈願や、養蚕の守り仏だが、…—— 秩父・奥武蔵伝説たわむれ紀行(神山弘・1984年(昭和59年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父・奥武蔵伝説たわむれ紀行(神山弘・1984年(昭和59年))
『秩父・奥武蔵伝説たわむれ紀行』は、神山弘が一九八四年に著した伝説探訪の紀行である。越辺川の流域や高麗郷、富士山のある村々、竹寺、武甲山と三峰山、宝登山、釜伏峠と粥新田峠など埼玉県西部の山村を歩き、土地の古老からの聞き書きと『新編武蔵風土記稿』などの記録を交えて、竜や大蛇、天狗、幽霊、将門などの伝説を語る。土地ごとの章に小見出しを立てた随筆体で、著者の前著『ものがたり奥武蔵』で扱わなかった土地を主にとりあげる。