防火札の行と火事のない日野
どんな伝承か
埼玉県秩父市日野の浅間神社に伝わる火伏の神の信仰。祭神木花咲耶姫は安産・養蚕・衣食住を司る神とされ、火伏の神としても信仰されてきた。神社を管理する里神楽七代目師匠の浅見源次郎さんは、防火のお札に神霊を宿すため零下の社殿で一週間の行をおこなっており、浅見さんの知る限りこの神社のおかげで日野では火災がなかったという。神楽は上州新町から伝わった徳丸派神楽で、十九の演目に加え木花咲耶姫を表す「蚕神」の演目もある。
原典より
まことにこの日野では、浅見さんの知る限り浅間神社のおかげで火災はなかったということである。—— 秩父・奥武蔵伝説たわむれ紀行(神山弘・1984年(昭和59年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父・奥武蔵伝説たわむれ紀行(神山弘・1984年(昭和59年))
『秩父・奥武蔵伝説たわむれ紀行』は、神山弘が一九八四年に著した伝説探訪の紀行である。越辺川の流域や高麗郷、富士山のある村々、竹寺、武甲山と三峰山、宝登山、釜伏峠と粥新田峠など埼玉県西部の山村を歩き、土地の古老からの聞き書きと『新編武蔵風土記稿』などの記録を交えて、竜や大蛇、天狗、幽霊、将門などの伝説を語る。土地ごとの章に小見出しを立てた随筆体で、著者の前著『ものがたり奥武蔵』で扱わなかった土地を主にとりあげる。