転がした家に祟ったおかめ岩
どんな伝承か
京の岩の相木川に面した小さな岩穴の中に、おかめ岩という白い石があった。昔はこの石がおかめの面にそっくりだったのでその名がついた。明治二十年ごろ、村人がこの崖下をせき止めて用水の工事をしたとき、ある人が面白半分におかめ岩を転がし落とした。ところがその後、その人の家では不吉なことが重なったので、これはおかめ岩のたたりに違いないと考え、元の場所へ戻したという。それからは誰も恐れてこの石に手を触れなくなった。いまはただの白い石として岩穴に載っているだけで、ある年に割れて傾いてしまったという。
原典より
ところがそれから後、その人の家では不吉な事が度重なったので、これはきっとおかめ岩のたたりだろうと、元のところへ納めたそうだ。—— 信州七不思議(降幡利治・1984年(昭和59年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
信州七不思議(降幡利治・1984年(昭和59年))
『信州七不思議』は、降幡利治が昭和五十九年に著した信州各地の七不思議を集めた本である。諏訪大社上社と下社の御神渡りや筒粥に始まり、松原湖、生島足島神社、川中島古戦場、志賀高原、浄光寺、雲上寺、立石など県内各地に伝わる七不思議を、町村誌などの資料と聞き取りをもとに記す。各地の七つの事柄を箇条に掲げて関わる社寺や史跡の解説を添えるガイド風の構成で、序では越後の人が信州人の気質を評した七不思議を紹介する。