天平の施薬院に始まる雁田薬師
どんな伝承か
雁田薬師浄光寺の七不思議の一つ目は、薬師堂の起こりそのものである。寺の言い伝えでは、聖武天皇の天平二年にこの地へ施薬院が置かれ、薬師如来を祀ったのが始まりで、のちに坂上田村麻呂が東へ攻め上る途中で戦勝を祈り、大同四年に薬師堂を建てたという。北信濃の小布施に、天平の昔から施薬院と薬師堂があったこと自体が、まず不思議とされている。いまの薬師堂は、修理のときに見つかった墨書と本尊の胎内の銘から応永十五年の建物と分かり、重要文化財に指定されている。
原典より
北信濃の小布施に天平の昔、施薬院が置かれ薬師堂を建立したことが、そもそも不思議。—— 信州七不思議(降幡利治・1984年(昭和59年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
信州七不思議(降幡利治・1984年(昭和59年))
『信州七不思議』は、降幡利治が昭和五十九年に著した信州各地の七不思議を集めた本である。諏訪大社上社と下社の御神渡りや筒粥に始まり、松原湖、生島足島神社、川中島古戦場、志賀高原、浄光寺、雲上寺、立石など県内各地に伝わる七不思議を、町村誌などの資料と聞き取りをもとに記す。各地の七つの事柄を箇条に掲げて関わる社寺や史跡の解説を添えるガイド風の構成で、序では越後の人が信州人の気質を評した七不思議を紹介する。