前宮十間廊に供える耳の裂けた鹿
どんな伝承か
高野は神野とも書き、諏訪大社の神饌として供える鹿を狩る、八ヶ岳山麓の広い狩場のことをいう。三月、上社酉の祭りには、前宮の十間廊に鹿の頭七十五、本膳七十五、神酒七十五樽が供えられるが、神野から獲れた鹿の頭のうち必ず一頭だけ耳の割れたものが混じっているという。この鹿は神代の昔から生贄と定められ、神矛にかかったもので、天竺の鹿野苑から献上されたものだと伝えられている。
原典より
その鹿の頭のうち神野から捕れたものに一頭だけ耳の割れたものが混じっている。—— 信州七不思議(降幡利治・1984年(昭和59年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
信州七不思議(降幡利治・1984年(昭和59年))
『信州七不思議』は、降幡利治が昭和五十九年に著した信州各地の七不思議を集めた本である。諏訪大社上社と下社の御神渡りや筒粥に始まり、松原湖、生島足島神社、川中島古戦場、志賀高原、浄光寺、雲上寺、立石など県内各地に伝わる七不思議を、町村誌などの資料と聞き取りをもとに記す。各地の七つの事柄を箇条に掲げて関わる社寺や史跡の解説を添えるガイド風の構成で、序では越後の人が信州人の気質を評した七不思議を紹介する。