毒矢の傷を癒やした渋の湯の七つの妙
どんな伝承か
奥蓼科の渋の湯は古くから霊湯として知られていた。北沢栄一氏の所蔵する信州諏訪渋温泉記によると、神功皇后の三韓遠征から引き揚げた兵に毒矢を受けた者がいた。信濃の渋の湯の湯の花を傷につけて飲ませれば救えるという夢のお告げがあり、役人が遣わされて湯の花と湯を持ち帰り、手当てをすると兵は助かったという。この湯には七つの妙があるとされ、節を残した青竹を湯に浸すと穴もないのに中に湯が満ちる、毎年入る者は夜道や雷を恐れない、などと伝えられている。
原典より
両節のある青竹を、湯に入れて置けば、穴無くして竹の中へ温泉満つる。—— 信州七不思議(降幡利治・1984年(昭和59年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
信州七不思議(降幡利治・1984年(昭和59年))
『信州七不思議』は、降幡利治が昭和五十九年に著した信州各地の七不思議を集めた本である。諏訪大社上社と下社の御神渡りや筒粥に始まり、松原湖、生島足島神社、川中島古戦場、志賀高原、浄光寺、雲上寺、立石など県内各地に伝わる七不思議を、町村誌などの資料と聞き取りをもとに記す。各地の七つの事柄を箇条に掲げて関わる社寺や史跡の解説を添えるガイド風の構成で、序では越後の人が信州人の気質を評した七不思議を紹介する。