水死者を絶った川代の婆地蔵
どんな伝承か
北九州市戸畑区川代町にかつて墓地があり、そこに「婆地蔵」と呼ばれる地蔵が祀られていた。川代地区が海岸だった頃、海水浴などで水死者が度々出たため、ある老女が墓地の中に地蔵を祀ったところ水死者が絶えたと伝わる。あるいは、水死した老女の霊を慰めるために地蔵を祀ったところ水死が絶えたともいう。川代海岸の開発で墓地とともに取り除かれ、牧山、三六などを転々とした後、現在は若松区稲荷町(浜町二丁目九)に移されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
『北九州市史 民俗』は、北九州市が編んだ市史の民俗編である。ここに収めるのはその第三編「信仰伝承」第一章「信仰」の第二節以降で、門司・小倉・若松・八幡・戸畑の各区に伝わる聖地と忌地、神仏信仰、神事と法会、巡礼、巫者・祈禱師、信仰集団、狐憑きや犬神などの憑霊・霊異現象を記す。節ごとに地区と地名を挙げて事例を並べる編み方で、祟る石や産女石、落人の墓なども忌地の項に見える。