木下上方組の猿田彦碑と庚申待ち
どんな伝承か
北九州市小倉南区木下の上方組では、中野家の庭に「猿田彦大神」と彫り込んだ石碑が建っており、この神を庚申さまと呼んで碑の前で庚申待ちの行事をしていた。二、三日前から地区内の一軒ずつ米を集め、お神酒銭は当日各自が持参する。夕方になると天台宗玄清派の僧侶が一足早く訪れ、床の間の前で御幣を切って一尺五寸ほどのメダケに差して立て、サカキとお神酒、御供を供えて燈明をともす。僧侶は床の間に向かって琵琶をかき鳴らしながら読経し、降神の儀に移った。式のあとは精進料理で直会となり、「話は庚申の晩にするもの」といって他愛ない話に花が咲いた。祭りの日は庚申の日を選んだ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
『北九州市史 民俗』は、北九州市が編んだ市史の民俗編である。ここに収めるのはその第三編「信仰伝承」第一章「信仰」の第二節以降で、門司・小倉・若松・八幡・戸畑の各区に伝わる聖地と忌地、神仏信仰、神事と法会、巡礼、巫者・祈禱師、信仰集団、狐憑きや犬神などの憑霊・霊異現象を記す。節ごとに地区と地名を挙げて事例を並べる編み方で、祟る石や産女石、落人の墓なども忌地の項に見える。