志井多賀神社の無言の米洗いと特殊神饌
どんな伝承か
小倉南区志井の多賀神社の祭礼は十一月二十二・二十三日で、前日に堂前組が集まって神籤で座元・つぎ方・盛り方の役を決める。座元は神饌米を炊く家で、台所に注連を張って女人禁制とし、主人が一人で全てを行う。早朝、座元が米の桶を抱え、他の三人が笊や手桶を持って無言のまま灯りも点けずに御手洗池へ向かい、沿道の家は外を覗くことを禁じられる。洗った米を音を立てずに持ち帰り、荒神様の燈火から竈に火を移して炊く。榊の葉をくわえ手拭で口を覆った奉仕者が茶碗で神饌を山盛りに整えて神前に運び、宮司が荒莚の三方に供える。計二十個に分け、椎の箸と新藁のつとを添える。のち村人が重箱と甘酒を携えて集まり直会になる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
『北九州市史 民俗』は、北九州市が編んだ市史の民俗編である。ここに収めるのはその第三編「信仰伝承」第一章「信仰」の第二節以降で、門司・小倉・若松・八幡・戸畑の各区に伝わる聖地と忌地、神仏信仰、神事と法会、巡礼、巫者・祈禱師、信仰集団、狐憑きや犬神などの憑霊・霊異現象を記す。節ごとに地区と地名を挙げて事例を並べる編み方で、祟る石や産女石、落人の墓なども忌地の項に見える。