白島明神のお渡りと毛利元就の故事
どんな伝承か
若松区の沖合に浮かぶ無人島・白島にある白島明神(昔は白滝権現社や応瀬明神社と称した)の祭礼は、毎年旧暦六月十一日に行われる。伝えによれば、戦国の武将毛利元就の乗った船が危難に遭った際、脇田の漁師具波伊がこれを救い、褒美として白島を賜ったという故事に由来し、今では豊漁と海上の安全を祈る祭りになっている。「お渡り」と呼ばれるこの祭礼では、脇田漁港などの関係者およそ五十人が海を渡って白島明神に供え物をし、その一年に新造した漁船のお祓いを受ける。祭神は女神なので、櫛や鏡といった化粧道具も供えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
『北九州市史 民俗』は、北九州市が編んだ市史の民俗編である。ここに収めるのはその第三編「信仰伝承」第一章「信仰」の第二節以降で、門司・小倉・若松・八幡・戸畑の各区に伝わる聖地と忌地、神仏信仰、神事と法会、巡礼、巫者・祈禱師、信仰集団、狐憑きや犬神などの憑霊・霊異現象を記す。節ごとに地区と地名を挙げて事例を並べる編み方で、祟る石や産女石、落人の墓なども忌地の項に見える。