天籟寺祇園山笠の飾りと世襲
どんな伝承か
北九州市戸畑区天籟寺には、二大祭りとして菅原神社の祇園祭と秋祭りがある。祇園祭は夏じけを払う神事で、七月十四日と十五日に行われる。祭神は須佐大神で、御神体は石である。ふだんは五寸四方の桐箱に納め錦布で覆って神殿に安置してあるが、祭りのときには祇園用の木の祠に納め、これを山笠へ移す。この行事をお神移しという。祠に巻いた白木綿は祭典のあと、妊婦の安産守りとして希望者に配られる。祭りの執行は若い衆が中心で、明治末年から大正中期には三十二、三人であった。山笠を飾る前花とテマリコは、代々荒神祭りを行う神教さんの家の安田大林が精進潔斎し、一室に籠って製作した。この仕事は世襲で、今は孫息子が継いでいる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
『北九州市史 民俗』は、北九州市が編んだ市史の民俗編である。ここに収めるのはその第三編「信仰伝承」第一章「信仰」の第二節以降で、門司・小倉・若松・八幡・戸畑の各区に伝わる聖地と忌地、神仏信仰、神事と法会、巡礼、巫者・祈禱師、信仰集団、狐憑きや犬神などの憑霊・霊異現象を記す。節ごとに地区と地名を挙げて事例を並べる編み方で、祟る石や産女石、落人の墓なども忌地の項に見える。