田野浦・恒見の竜蛇神と歳徳神の札
どんな伝承か
門司区田野浦ではかつて出雲大社や英彦山の札が配られていたが、今は配り手が来なくなった。英彦山の護符や祈禱札は、毎年檀家を回る山伏が布施の見返りに置いていくものだった。伊勢の大麻は村役場から区長を通じ、甲宗八幡神社の大麻も神社から区長を経て各戸へ渡った。大里馬寄賀善の賀善寺(今は廃寺)からは木版刷りの年徳様が農業の神として配られ、主に農家が祀った。猿喰では年末に甲宗八幡神社から歳徳神の札が届く。恒見には昭和五十年ごろまで出雲から来たという神職風の人物が竜蛇神の姿を刷った札を配りに来ていたが、いつしか姿を見せなくなった。恒見八幡神社からは年末に歳徳神と氏神の神像の刷り物が出る。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
『北九州市史 民俗』は、北九州市が編んだ市史の民俗編である。ここに収めるのはその第三編「信仰伝承」第一章「信仰」の第二節以降で、門司・小倉・若松・八幡・戸畑の各区に伝わる聖地と忌地、神仏信仰、神事と法会、巡礼、巫者・祈禱師、信仰集団、狐憑きや犬神などの憑霊・霊異現象を記す。節ごとに地区と地名を挙げて事例を並べる編み方で、祟る石や産女石、落人の墓なども忌地の項に見える。