傘で馬を止めた法師と次郎の霊の蜂
どんな伝承か
百合若の矢を逃れた別府次郎は、馬に鞭を当てて大神郷を抜け、国東郷を目指して逃げた。日出荘の井出村まで来たとき、向こうから一人の法師が歩いてきた。追ってきた百合若が大声で馬を止めてくれと頼むと、法師は手にした傘をぱっと開いて馬の行く手をさえぎり、驚いた馬はその場に立ち止まった。そのすきに追いついた百合若は次郎を捕らえ、胸まで土に埋めて竹の鋸をそばに置き、通りかかる人に一度ずつ挽かせて見せしめの刑に処した。亡骸は近くの森に葬られたが、いまも僧がその森に足を踏み入れると、次郎の霊が大きな蜂となって現れ、刺すといわれている。
原典より
次郎の死体は近くの森に葬られましたが、この森には今でも僧侶が立ち入ると次郎の霊の大蜂が出て刺すといいます。—— 大分県の民話 第2集(土屋北彦・大分県の民話) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大分県の民話 第2集(土屋北彦・大分県の民話)
『大分県の民話 第2集』は、土屋北彦による大分県の民話集である。日田の鬼大夫永季、府内の山弥長者、柞原八幡縁起、小豆研ぎ、百合若物語りなど、県内各地の長者譚・社寺の縁起・人柱・妖怪・英雄の伝説を、古代から江戸時代までの年号や現在の市町村名を添えて語り直す。三十二話を一話ずつ題を立てて並べ、多くは「です・ます」の語りで、方言による短い昔話も交じる。