沈堕の滝で竜になった神主の娘
どんな伝承か
佐賀関の早吸日女神社に仕える関家の神主が、大野郡の沈堕の滝の近くで、子どもに殺されかけた蛇を助けた。子のない夫婦はその年の暮れに娘を授かり大切に育てたが、年頃になると娘は病で伏しがちになった。ある夜、母が部屋をのぞくと大蛇がとぐろを巻いており、娘は自分が滝に住む竜の化身で、恩返しに生まれてきたと明かした。翌朝、両親が滝へ送ると、娘は父の脇差を借りて滝壺の先住の主を討ち、巨竜となって水底へ消えた。以来、竜は毎年六月の大祓の日に大野川を下って早吸日女神社の宮の池に現れるとされ、その日は川が濁り、社の古井戸をのぞくことは禁じられているという。
原典より
と見る間に、滝の底から一匹の巨竜が現われました。—— 大分県の民話 第2集(土屋北彦・大分県の民話) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大分県の民話 第2集(土屋北彦・大分県の民話)
『大分県の民話 第2集』は、土屋北彦による大分県の民話集である。日田の鬼大夫永季、府内の山弥長者、柞原八幡縁起、小豆研ぎ、百合若物語りなど、県内各地の長者譚・社寺の縁起・人柱・妖怪・英雄の伝説を、古代から江戸時代までの年号や現在の市町村名を添えて語り直す。三十二話を一話ずつ題を立てて並べ、多くは「です・ます」の語りで、方言による短い昔話も交じる。