豊後大野郡が人魚を将軍に献上
どんな伝承か
『江源武鑑』によれば、天文十九年四月二十一日、豊後国大野郡から、頭は人、手足と胴は魚で鱗のあるもの(人魚)を、時の将軍家へ献上したという。人魚の出現は古来、豊作や国土安穏の瑞兆とされることが多く、諸国で網にかかったり浜へ流れ寄ったりした記録が数多く伝わる。豊後大野郡から将軍へ献上されたこの人魚も、そうした人魚出現譚の一つとして記されている。
原典より
天文十九年庚戌四月二十一日豐後國大野郡から頭は人、足手胴は魚で鱗のあるものを、時の將軍家へ獻上した—— 動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年))
『動物妖怪譚』は、日野巌が大正六年に筆を起こし、大正十一年の跋と大正十五年の再記を添えて著した伝説の動物の研究書である。鬼・天狗・河童・人魚・雪女・龍・雷獣・狐・狸・獏・鯰・猫など二十六の項目を立て、記紀や万葉集から近世の随筆までの記事を原文の引用ごと示して起源と変遷をたどり、動物学の知識で正体を考える。總論で起原・歴史的変遷・分類などを論じ、結論では迷信から科学へ近づくことを説いて閉じる。