血を流す亡者杉と喜多院の入定場
どんな伝承か
川越市の喜多院には、入定場と呼ばれる所がある。昔、ある高僧が自分の死期を悟り、生きたまま穴に入って念仏を唱え続けていたが、二十一日目についにその声が聞こえなくなったという。穴のかたわらには一本の杉が立っていて、幹を傷つけると血が流れ出すといわれ、亡者杉とも呼ばれた。人が死ぬと、この杉にその人の足跡が付くとも伝えられている。
原典より
昔、ある高僧が死期を予知して生きながら穴に入り、念仏を唱えていたが、二十一日目に遂に念仏は聞えなくなってしまった。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。