蛇使いを殺めた山賊と蛇塚
どんな伝承か
秩父郡大滝村字十々六木(現秩父市大滝)の寒野岩という所の大きな穴に、昔、山賊が住んでいた。この山賊はある時「蛇つかい」を襲い、衣類や金銭を奪ったうえ、その蛇つかいまでも殺してしまった。それから二、三年後のこと、山賊は二、三百匹の蛇の大群におそわれた。蛇つかいが使っていた蛇がこんなにふえたのである。その時、彼の頭に浮んだのは三年前に蛇つかいの命を奪ったことだった。自らの悪業を悔いた山賊は、蛇つかいを襲った寒野岩の大穴の前に塚を築いて、ねんごろに供養したという。この塚には今でも多くの蛇がおり、今では蛇塚と名づけているという。
原典より
山賊は二、三百匹の蛇の大群におそわれた。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。