雨夜の怪火を地蔵で鎮めた十一人塚
どんな伝承か
鳩山町奥田の十一人塚は、羽黒堂から笛吹峠へかけての一帯にある。『新編武蔵風土記稿』によれば、このあたりには塚が十一あり、土地の者は人の骨を埋めた塚だと言っていた。ついこの間まで雨の夜になると怪しい火が燃え、人々はひどく恐れたので、塚ごとに地蔵を立てて死者の冥福を祈った。それからは火が出ることはなくなったという。
原典より
『新記』に「此辺塚十一あり。土人云骸骨を埋みし塚にて、近き頃までも雨夜には冥火燃し故、人々驚駭し、塚毎に地蔵を建て、追福せしかば冥火起る事なしと云」と記している。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。